【美女と野獣(2017年実写)】ディズニーは苦しいエマ・ワトソン縛りとジェンダーバイアスとアリスシンドロームを交えてどう描いた?をユニーク考察!

美女と野獣 ディズニー

こんにちは、アラヰフミです。

アニメーションの美しさと音楽で名高いアニメ版「美女と野獣」(1991年)。それを下敷きにしたのエマ・ワトソン主演の実写版「美女と野獣」(2017年)をユニーク考察したいと思います。

この作品は結局のところ12億ドル以上の大成功を収めました(製作費は1億4000万ドル)。これは一説によると「アナ雪」を超えるヒットなのだそう。

そもそも、主演にエマ・ワトソンを起用したことでこの映画の成功はほぼ決まっていた感じはあります。

それほど、まだ「ハーマイオニー」の余韻残る当時のエマ・ワトソンには凄まじい期待感がありました。

まさにハマり役。「ハリーポッター」シリーズから公開までにすでに6年が経っていましたが、「ハーたん」から「美女」へ見事なステップアップを果たした感がありました。

期待以上でも以下でもない「エマ・ワトソン」

しかし、ガストンがすべてを捨てて恋焦がれるほどの神々しい美しさが彼女にあったか、といえばノーと言わざるを得ません。

そもそも、ベルの年齢設定は非公式ですが18歳か15歳。

筋書きを見れば、ベルは15歳と考える方が自然です。

少なくとも「アナ雪」のエルサがディズニー初の20台プリンセスとしてかわいそうな指摘を受けていましたから、ティーンエイジャーであることは間違いありません。

「15歳の少女に無理な求婚を迫る変態ガストン」

そもそもこの建付けでないと「美女と野獣」の筋書きは成立しないはずです。

27歳の平民の女の子に求婚する貴族。彼はがさつではありますが、このためむしろちょっと愛嬌のある奴すら感じさせています。

ちなみにエマは1990年生まれで、公開年は2017年。

それが物語全体の説得力……そもそもの「少女の純愛」から逸脱せざるを得ない結果となりました。

彼女は「ハーオマイニー」ではなく、すでにれっきとした「エマ・ワトソン」に成長していたのです。

村娘たちに「かわいらしくない」女性たちを並べたのは意図的でしょう。逆説的になんとかエマを美少女にしようという努力に涙を禁じえません。

しかし、エマ自身に対しては「脳内年齢は15歳でお願いね」と言わんばかりの投げっぱなしっぷり。

それはすでにスーパースターだったエマに遠慮したようにも思えます。

本来、エマ・ワトソンでト書きをするなら、「自立した女性」として描くほうが自然でしょう。

ヒロインを自立させられないディズニーの呪縛

しかし、ディズニーにはプリンセスを「自立した女性」として描けないひとつの呪縛があります。

それが、「不思議の国のアリス」の呪縛です。

かわいいアリスが不思議な世界でなんとなく大冒険をこなしてしまう。

この筋書きは世界中の女の子に夢を与えましたが、少なくとも論理的ではありませんでした。実際に当時の批評家からは酷評されてもいたようです。

しかし、この作品の成功が、「まぁシナリオ適当でもすごい絵と音楽用意して最後になんとかなってればいいんじゃね」というディズニーの悪しき伝統になったと考えるのは早計でしょうか。

少なくともアニメ版「美女と野獣」にはこの呪縛が色濃くうかがえます。

しかしこの実写版では、この呪縛からなんとか解き放たれよう、説得力のある脚本にしようと序盤からさまざまな仕掛けを施してはいます。

それは製作者たちの挑戦を感じなくもありません。

ジェンダーバイアス問題を華麗にスルー。

「アナ雪」ではそのいわゆるジェンダーバイアス問題に対して人間的な成長と解放を描く、というひとつの回答を見出しました。

しかし、これは「美女と野獣」。本来は貴族の贖罪と純粋がゆえにそれを受け入れる少女のラブストーリーです。

そして純粋であることは、しばしば無知とも紐づきます。さぞ制作陣は頭を抱えた事でしょう。

そのまま描けば、無知な少女がただ幻想の愛に振り回される物語、と見られかねません。

しかしそこはエマ・ワトソン。

ただし、ここに一つの解決策がありました。

何しろエマ・ワトソンはとても純粋な少女には見えません

むしろとても強そうです。結果的にそれが、この作品を女性蔑視問題から解放しているのだから興味深い。

「ないもしないことが最良」だったわけです。

それを狙ったか狙ってないかを考えるのは観る人次第ですが、僕はきっと狙ったに違いないとにらんでいます。

1億4000万ドルのワンシーン!

しかしフィナーレに近づけば近づくほどアニメ版が抱えていた矛盾をなぞろうとするのはとても残念に思えます。

……そもそもガストンは生きていた方が読後感は良かったでしょうし、ルフゥがゲイなのもジェンダーバイアス対策の薄っぺらい隠れ蓑に見える逆効果。

というかゲイの描き方を完全に間違っています。これでは、とんねるずが叩かれたアレと同じです……。

しかし、メガヒット作品ならではの見ごたえも確かにあります。

特に、ラストのティーカップたちが人間へと戻るシーンは本当に感動的です。そこではスクリーンでしか出会えない、目の覚めるような美人も登場します。

彼らがこの作品を不当な低評価から救ったともいえるようにも思えるほど。このワンシーン(といってもそれなりの尺はありますが)だけでも1億4000万ドルの価値はあるはずです。

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