【脚本家の映画採点】#1 翔んで埼玉(魔夜峰央が持つ謎の贅沢感を見事に昇華!)

とんでさいたま コメディ

こんにちは、新井一二三です。今回は日本アカデミー賞受賞の娯楽大作、「翔んで埼玉」を採点します。

自虐ネタは大家が言うほど面白い。ということで「パタリロ!」で知られる魔夜峰央はコミック界の枠を超えたいわゆるレジェンド的存在。

「花とゆめ」あるいはアニメを通じてうら若き少年少女たちに耽美愛、率直に言ってしまえばやおい文化を植え付けてしまうという偉業を果たした大人物でもある。

ということで、魔夜作品を料理するならば常識の枠外を超えた仕掛け、「えっこんなことやっちゃっていいの?」という謎の贅沢感こそが神髄。

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ゴールデンタイムのお茶の間でホモセクシャル。あの謎のドキドキ感。そのホモセクシャル分をいかに「映画」という媒体に落とし込むのかがポイントで、それが見事に達成された、いや昇華されたと言ってもいい娯楽大作。

それが日本アカデミー賞を獲得してしまうのはやっぱりちょっとどうかな、日本の映画界、元気ないの?と感じる人は多いだろう。しかしディズニーやマーベルだってアカデミー賞はなかなか受賞しない

つまり娯楽大作だから受賞した時文句を言われるわけで、そもそもアカデミー賞を狙ったわけではないから関係者はその評判を聞くにつけさぞ困惑したことだろう。

登場人物全員「翔んで埼玉」。

結局のところ、アカデミー賞にふさわしい「贅沢感」を提供したのはまぎれもない事実。千葉、群馬、東京、神奈川の事情を巻き込んで、一大スペクタクル戦乱絵巻に落とし込んだ制作陣のアイディアがそもそも魔夜峰央のもつ贅沢感を爆発させた恰好というわけだ。

当然、出演キャラクターはおおむねホモセクシャルである。逆に言えばどうやってドサクサ紛れにホモセクシャルさせるか、が一大テーマなのだ。

つまりコンプライアンスが一回転してジェンダーバイアス問題に一石を投じたといってもいい作品。無茶苦茶だが日本のキャプテン・マーベルといえるのかもしれない。


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そう考えれば小ネタを積み重ねて大戦乱に巻き込んでいく手法は「X-MEN ファイナル・ディシジョン」「アベンジャーズ/エンドゲーム」などのアメコミ大作を連想させる。

そもそも「翔んで埼玉」を成立させているの「郷土愛」そのもの。普遍的なテーマであるがゆえに誰もが心重ねて感動できる作品に仕上がっているともとらえられるだろう。

ぜひ制作陣の誰かに今度は「石川-富山」の確執をテーマに次回作を撮っていただきたい、興行的には失敗するだろうが、原作が五木寛之ならきっとなんとかなる。

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タイトルは「浅野川の一滴」でどうだろうか。きっと盛大に五木寛之の無駄遣いが達成されることだろう。がんばれ幻冬舎

娯楽大作ではあるものの、人生において忘れがちな何か思い出させてくれたりもする。きわめて85点に近い83点

※採点基準

  • 90点~人生を変えるほどの魅力を持った作品
  • 80点~ジャンルを超えて対価以上の価値が大いにある作品
  • 70点~ジャンルが合えば対価以上の価値がある作品。
  • 60点~対価に見合う作品。ジャンルに興味があれば。

ちなみに2020年5月現在では「amazonプライム」で視聴できる模様です。興味のある方はこちらから視聴をぜひどうぞ。無料期間の視聴がおすすめです。

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