こんにちは、新井一二三です。
まず言っておくが、僕は「すみっコ」フリークである。
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「ぺんぎん?」を愛し、「ぺんぎん?」を愛しすぎるがゆえに彼の正体はもしかして「かっぱ」なのでは……と邪推をしてやまない44歳である。
愛ゆえに……我が子とユニクロの景品をめぐって血で血を争う抗争を繰り広げ、結局「しろくま」と「ぺんぎん?」2着分の景品を分け合うことで手打ち(結局まんまと2着分買わされている)と相成った過去を持つ僕こそがこの映画を語るにふさわしい……いや僕以外に語る人なんぞ居やしおうか。いや、居はしない。
まさかの邦楽ランキング一位を獲得。
冗談はさておき、なんといっても2019年末の邦画映画ランキング第一位である。「まさかの」ジャパニーズドリーム。
正直なところアニメ制作費よりもナレーターのV6井ノ原のギャランティが高いのでは、と思わずにいられない感じの作品が、まさかの観客動員120万人。興行収入14億円超という大ヒット。
ちなみに監督のまんきゅうの主な作品は「北斗の拳イチゴ味」、「磯部磯部絵物語」、「カッコカワイイ宣言!」、「お前はまだグンマを知らない」。
えっ、なぜこの経歴から「すみっコ」を……まさか低予算でもそれなりに仕上げてくれる監督だから、という理由ではあるまい。ところで経歴の「開運!大便小僧」って何ですか……。
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2次作品の限界を超えたヒットの理由は。
「キャラクター映画」は結局のところ2次作品である。
だから元設定のキャラクター性をどれだけ生かせるか、さらにその世界観の中でどれだけの深みを持たせられるか、が脚本としては大事で、それが視聴者層の納得感に直結する。
極限までそぎ落とされた脚本、そのために選択した手法。
そしてまさかのマルチバースである。マルチバースをMCUより先にすみっコが取り入れてしまった、と考えるとまた興味深い。ピーター・パーカーもさぞムズムズしていることだろう。
そしてこの作品の偉大なところは、2次作品にもかかわらずその「キャラクター世界」の垣根外にもその感動を広げたところにある。
振り返れば、だからキャラクター紹介をわざわざ冒頭に挿入した。このあたりも制作陣の強い意欲がうかがえる。
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生きる場所が無くても、仲間はできる。
「すみっコ」で生活を営む日陰者たち。その前に現れたなぞの生き物「ひよこ?」は絵本のどこにも生きる場所がなかった。
でも、どこにも生きる場所がなくても仲間はできる。仲間がいれば、楽しくやれる。
そもそもの「すみっコ」がもつテーマを丁寧に描き出し、衝撃を加え、さらに救いをも示して見せる美しい脚本。
文句のつけようもないところが欠点にも思えるが、多くの観客を涙ぐませた事実がその価値を雄弁に物語る。
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よく考えれば「幼年層ファミリー映画」が今の邦画アニメ業界を考えると果てしなくブルーオーシャンだったといえばそうなのだろう。
でも次回作の期待は……ほどほどにしておきたい。結局「映画ドラえもん」シリーズも「のび太と恐竜」を上回る作品はその後出てこなかった。
でも僕は期待する。
人生に残る作品というのは、意外とこういうものなのかもしれない。
86点。
※採点基準
- 90点~人生を変えるほどの魅力を持った作品
- 80点~ジャンルを超えて対価以上の価値が大いにある作品
- 70点~ジャンルが合えば対価以上の価値がある作品。
- 60点~対価に見合う作品。ジャンルに興味があれば。
ちなみに2020年5月現在では「amazonプライム」で視聴できる模様です。興味のある方はこちらから視聴をぜひどうぞ。無料期間の視聴がおすすめです。
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